ホルンの名手ファーガス・マクウィリアムの音楽思想

ファーガス・マクウィリアムとは?

ファーガス・マクウィリアム(Fergus McWilliam)は、スコットランド生まれのホルン奏者・教育者。15歳の時に小澤征爾指揮のトロント交響楽団でソリストとしてデビューし、その後、デトロイト交響楽団(1979~1982年)、バイエルン放送交響楽団(1982~85年)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1985~2019年)でホルン奏者を務めた。

ベルリン・フィル在籍時には、カラヤン、バーンスタイン、クライバー、クーベリック、アバド、ラトル、ヴァント、ジュリーニ、ハイティンク、ヨッフム、テンシュテット、チェリビダッケ、小澤征爾、ムーティ、ブーレーズ、アーノンクール、バレンボイム、ブロムシュテット、コープランドなど、世界的な指揮者と共演。1988年にはベルリン・フィルハーモニー木管五重奏団の創設メンバーとなり、1998年にはベルリン・フィルのホルン・セクションを母体としたアンサンブル「ベルリン・フィルのホルン」を結成し、ヨーロッパ、アメリカ、東アジアで演奏活動を行った。

教育活動にも力を注ぎ、ベルリン・フィル・アカデミー、ハンス・アイスラー音楽大学、英国王立音楽アカデミー、英国王立音楽大学、ギルドホール音楽院、スコットランド王立音楽院、パリ国立高等音楽院、東京藝術大学、カーティス音楽院などで指導し、多くの門下生が世界の主要オーケストラで活躍している。彼の演奏哲学は彼の演奏哲学は、伝統的な指導法を見直し、「ホルンは教えられるものではなく、習い覚えるものだ」との考えのもと、演奏者自身が自ら学び、試行錯誤することを重視。著書『自分の音で奏でよう(Blow Your Own Horn)』では、耳を鍛えること、柔軟なアンブシュア、自然な呼吸法、メンタルコントロールの重要性を説き、金管楽器奏者の間で広く読まれている。引退後も、教育者として世界中で講習会を行い、後進の育成に尽力している。

名著「自分の音で奏でよう! ~ベルリン・フィルのホルン奏者が語る異端のアンチ・メソッド演奏論~」

とは…

ベルリン・フィルで30年以上にわたりホルン奏者を務め、世界各国の若手音楽家の育成に尽力してきたファーガス・マクウィリアムによる画期的提言。
演奏の上達に本当に必要なことは何か?
従来の因習的な指導法の問題を突き、経験に裏打ちされた本質的・実践的な独自のアプローチを語る。

目次

残念ながら絶版となってしまっている

残念ながら現在は絶版となっていますが、本書には多くの金管楽器奏者にとってヒントになる内容が詰まっています。ここでは、彼の考え方を元に初心者の方が効率よく上達するにはどうするべきかに視点をおいて書いてみます。

もちろんここに書かていることを鵜呑みにすることはせず、「そういう視点もあるんだ!」と視野が広がればとても良いことだと思います。

1. マクウィリアムの基本思想 – 彼の演奏哲学と「異端的」な考え方とは?

ベルリン・フィルのホルン奏者、ファーガス・マクウィリアムは、これまでの指導法に疑問を投げかける独自の演奏哲学で知られています。彼は「ホルンは教えられるものじゃなくて、自分で習い覚えるものだ」と考えていて、先生の役割は生徒の才能や可能性を引き出す手助けにすぎないと言っています。

つまり、決まった教本や練習法に頼るのではなく、自分で試行錯誤しながら学ぶことが大切だということです。マクウィリアム自身も、あえて「異端」という言葉を使ったのは、「みんなが当たり前だと思っていることを見直してほしい」という思いがあったからだそうです。

まずは、「自分で発見しながら学ぶ」という考え方を意識してみましょう。先生に言われたことをそのまま受け入れるのではなく、自分の耳で音を聴き、体で感じながら、何が本当にうまくいくのかを探ることが大切です。

マクウィリアムの哲学から学べるのは、受け身ではなく自分で考えて行動することの大切さです。例えば、新しい奏法や練習方法を試すときも、「これって本当に効果があるのかな?」と、自分で検証してみるのが大事です。彼が言う「異端的」な姿勢とは、決められた方法にとらわれず、常に考えながら自分なりの答えを見つけること。そうすることで、結果的に自分の音楽の幅が広がり、上達のスピードもぐんと上がるはずです。

2. 長時間の練習は本当に必要? 質を重視する考え方

ただ長時間楽器を吹けば上達するわけではない、とマクウィリアムははっきり言っています。多くの初心者は「とにかく毎日何時間も練習しないと上手くならない」と思いがちですが、彼はこの考え方に疑問を投げかけています。確かに、練習なしで上達はできませんが、「やれば必ず上手くなる」というわけでもありません。内容のない惰性的な練習は、ただ体を疲れさせるだけで、むしろ逆効果になることもあります。マクウィリアムは、罪悪感から義務的に楽器を吹く「練習中毒」に陥らず、意識的で質の高い練習をすることが大切だと強調しています。

では、質の高い練習とは何でしょうか?ポイントは、「目的を持ち、効率よく練習すること」です。次のようなアプローチを試してみましょう。

1. 目標を決める

なんとなく長時間吹くのではなく、「今日はこのフレーズのリズムを正確にする」「この音域の音をもっと響かせる」など、具体的な目標を設定することが大切です。

2. 短時間で集中する

何時間もダラダラと練習するより、集中力が続く短い時間に区切ってしっかりと練習したほうが効果的です。音が荒れてきたら、一度休憩を取るのも大事なポイントです。

3. 録音して振り返る

自分の演奏を録音し、客観的に聴いてみましょう。うまくいった部分、改善すべき部分をノートに書き出し、次の練習の参考にすることで成長が早まります。

マクウィリアムは「『練習』という言葉をやめて、『研究』や『探求』と言い換えてみてはどうか」と提案しています。この発想には、ただ時間をかけるのではなく、問題意識を持って工夫しながら練習することが大切だという考えが込められています。楽器を手に取るときは、「今日は何を発見し、どんな新しいことを学べるだろう?」という探求心を持つことが大切です。ただがむしゃらに吹くのではなく、しっかり考えながら練習することが、効率よく上達するための鍵になります。とても難しいことですが、この発想を持つことが大切です。

3. ウォーミングアップの誤解 – 何が本当に必要なのか?


練習前のウォーミングアップと聞くと、「時間をかけて丁寧にやればやるほどいい」と思っている人も多いのではないでしょうか。マクウィリアムは、この一般的な考え方に疑問を投げかけ、「ウォーミングアップは誤解だらけだ」と指摘しています。特に、学生によくある「長い時間かけて唇を慣らさないと不安で演奏できない」というケースについて、彼は「実は、唇よりも心のほうに時間が必要なんだ」と言っています。

「ウォーミングアップが必要なのは唇じゃない。しっかりマッサージして温めるべきなのは、自信や心のほうだ」とマクウィリアムは言います。これはつまり、演奏前に一番大切なのはメンタルを整えることだという意味です。もちろん、唇や指を動かす基礎練習も大事ですが、それ以上に気持ちの準備が重要だということですね。

例えば、本番前や練習を始める前に深呼吸をしたり、演奏する曲の一部を頭の中で歌ってイメージをつかんだりするだけでも、気持ちを落ち着ける効果があります。マクウィリアム自身、「心と頭がしっかり準備できて、自信が湧くまで楽器のケースを開けないこともある」と話しており、それだけ精神面の安定が演奏に直結すると考えています。この考え方は、セルジオ・カロリーノの「マインドvsメタル」とも共通する部分がありますね。

では、具体的にどんなウォーミングアップが効果的なのでしょうか? マクウィリアムの考えに沿えば、必要最低限の時間で体を温めつつ、心の準備を整えることが大事になります。

では、時間がないときはどうするべきでしょうか? 彼は極端な例として「大声を出す」という方法を挙げています。これはただのジョークではなく、実際に奏者の体を素早く目覚めさせる手段の一つとして理にかなっています。大声を出すことで呼吸が深くなり、横隔膜が刺激され、体がリラックスするという効果があるのです。短時間でも心と体を整え、すぐに演奏モードに入れるようになります。極端な例ですが、重要なのはこの発想です。

重要なのは、ウォーミングアップに時間をかけすぎて、肝心の練習時間が減ってしまうことを避けることです。長々と準備をして疲れてしまったら本末転倒です。短く効率的に体を慣らし、早めに本題に入ることで、より充実した練習ができるでしょう。状況に応じてウォーミングアップのスタイルを調整し、最適な方法を見つけることが大切です。

4. 耳を鍛えることの重要性 – 聴く力を育てる方法

マクウィリアムは、「耳を使うこと」が上達の鍵だと繰り返し強調しています。彼はレッスン中、生徒のアンブシュアや指の動きを見るよりも、まず音をじっくり聴くことを大事にしているそうです。なぜなら、見た目よりも音がすべてを物語るから。自分の演奏を客観的に聴ける耳を育てることが、何より大切だと言っています。

彼は「先生に頼りすぎることで、せっかく持っている最高のツール、つまり耳を封印してしまう」とも言っています。つまり、誰かに「ここを直したほうがいい」と言われるのを待つのではなく、自分でしっかり聴いて、何が良くて何を改善すべきかを判断する力を身につけることが大事ということです

じゃあ、どうすれば耳を鍛えられるのか。ひとつは、お手本となる音をよく聴いて真似ること。マクウィリアムは、これは子どもが言葉を覚えるのと同じだと言っています。「音の響きをよく聴いて、ホルンという新しい言語を学ぶように、必要な体の動きを覚えていく。よく聴いて、まねをする」。まずは好きな演奏家の録音を何度も聴いて、その音色や表現をそっくり再現するつもりで吹いてみるといいでしょう。これは、日本でも海外でも、多くの奏者が共通して強調するポイントです。まず真似するところから始まると。

もうひとつの方法は、自分の演奏を録音して聴くこと。録音を聴くと、自分では気づかなかったテンポの乱れや音程の不安定さがはっきりわかります。これを次の練習に活かせば、効率よく上達できます。

マクウィリアムは「鏡を見るより録音を聴け」とも言っています。鏡で姿勢を確認するのも大事ですが、音をしっかり聴くことのほうがもっと大事。常に自分の音に耳を傾けて、「理想の音に近づいているか?」と意識することが重要です。耳を鍛えれば、自分の演奏を自分で正しく導けるようになり、上達の道もずっと明確になります。

5. アンブシュアの真実 – 作るものではない

金管楽器を吹くうえでよく話題になる「アンブシュア」ですが、マクウィリアムはこの口の形にこだわりすぎることに警鐘を鳴らしています。理想のアンブシュアを求めるあまり、音楽そのものや息の使い方がおろそかになってしまうことがあるからです。

例えば、「ちゃんとしたアンブシュアができるまでは楽器を吹いてはいけない」と指導された生徒が、形を崩さないように意識しすぎて息の流れが制限され、結果として硬くて冷たい音になってしまうことがあります。これでは本末転倒ですよね。マクウィリアムは、アンブシュアは本来もっと柔軟で流動性のあるもので、息の流れに合わせて自然に調整されるべきだと言っています。アンブシュアを作ってからそこに息を流すのは絶対に間違っています。極端に言えば、まずしっかり息を送り出し、その流れに唇を乗せてコントロールするイメージです。

では、初心者はアンブシュアとどう向き合えばいいのでしょうか? マクウィリアムの答えはシンプルで、「良い音が出ていれば、それが正しいアンブシュア」だということ。たとえ一般的な形と違っていても、いい音が出ていれば、それはその人にとって正しいアンブシュアというわけです。逆に、いかにも正しい形をしていても、音が良くならなければ意味がありません。実際、世界には「教科書的」なアンブシュアではなくても素晴らしい音楽を奏でている演奏家がたくさんいます。マクウィリアムも、大きな矯正をするより、小さな調整を積み重ねることでアンブシュアを改善するのがいいと言っています。

具体的な練習方法としては、柔軟性を養うことを意識しましょう。ロングトーンやリップスラーを通じて、息の流れに対して唇をコントロールする感覚を磨くのが効果的です。鏡を見て口の形ばかり気にするのではなく、どのポジションや力加減で一番良い音が出るかを体で覚えていくことが大事です。アンブシュアは、決まった形に当てはめるものではなく、音楽に合わせて調整していくもの。常に音を最優先に考えながら、自分に合った自然なアンブシュアを見つけていくことが、美しい音色と安定した演奏につながります。

実際、これは実際に多くの奏者が経験していることで、『アンブシュアを安定させなければ』と考えすぎると、かえって演奏の調子を崩してしまうケースが多いです。

不適切なアンブシュアは、良い息の吹き込み方をするだけで必ず改善させることができる。そうすれば必ず良い音が出るようになる。

6. 呼吸法の秘密 – 息の使い方を理解する

金管楽器の演奏では呼吸がとても重要ですが、マクウィリアムは「呼吸法」というものを特別視しすぎるのはよくないと指摘しています。彼の言葉を借りると、

「呼吸とは、単純に息を吸って吐くことにすぎない。酸素を多く含む空気が肺に吸い込まれ、二酸化炭素の溶け込んだ空気が肺から吐き出される。」

当たり前のことのようですが、ここには大事なメッセージがあります。つまり、呼吸は何か特別な技術ではなく、本来ごく自然な動作であり、意識しすぎることで逆に不自然になってしまうということです。

例えば、演奏前に深く息を吸おうとしすぎて肩が上がってしまったり、必要以上に空気を吸い込みすぎてしまうことがあります。しかし、これは逆効果になることが多いです。息を吸うことばかりに意識が向くと、空気をため込みすぎてしまい、吐くときのコントロールが難しくなって音がぼやける原因になります。

マクウィリアムは、「喉を大きく開けて息を吸うと、吐くときに適切なコントロールができなくなり、音程が不安定になったり、ピアニッシモが出しにくくなる」と指摘しています。

では、どのようにすれば良い息の使い方ができるのでしょうか。ポイントはシンプルで、「自然な呼吸を必要な分だけ使う」ことです。次の点を意識してみましょう。

姿勢とリラックス: 背筋を伸ばし、肩の力を抜いた状態で息を吸う。肩や胸に余計な力を入れず、お腹のあたりが軽く膨らむようなイメージで空気を取り込む。

必要な分だけ吸う: できるだけ多く息を吸い込もうとするのではなく、そのフレーズを演奏するのに十分な量を吸うことが大切です。吸いすぎると、吐くときにコントロールが難しくなります。

息を吐く流れを意識する: 息を吸うことばかり考えず、吐くときの流れに意識を向けることが重要です。息を吐くときは、腹筋で軽く支えながら、スムーズに音に変換するイメージを持つと良いでしょう。

呼吸の練習: ロウソクの火を消さずに揺らし続けるように息を吹く練習や、スーッと一定の音を立てて息を吐く「ロングブレス練習」は、息のコントロールに役立ちます。楽器を使わずにできるので、ウォーミングアップにも適しています。

マクウィリアムの考え方は、「呼吸はあくまで自然なものだから、意識しすぎないことが大切」というシンプルなものです。息は音を作るエネルギーですが、必要以上に意識すると力みにつながり、かえってうまくいかなくなることもあります。

深く息を吸い、しっかり吐く。このシンプルな動作を無理なく行えるようになることが、良い音を出すための鍵です。呼吸について悩むことがあれば、「自然に、必要な分だけ」を意識してみると、演奏が楽になるかもしれません。

7. メンタルの重要性 – プレッシャーに負けない心の持ち方

音楽の上達や本番での成功には、技術と同じくらいメンタルも大切です。どれだけ練習でうまくいっていても、本番になると緊張して実力を出し切れない…という悩みを持っている人も多いですよね。マクウィリアムもこの点に触れ、プレッシャーとの向き合い方について具体的なアドバイスを残しています。

彼はオーディション(試奏)の場面を例に、「膝が震え、喉がカラカラになっても、自分には果たすべき大切な役割があることを自覚せよ」と言っています。つまり、「緊張している」と考えるのではなく、「自分は今、作曲家と音楽に仕えているんだ」と意識を変えようということです。ただ「うまく演奏しなきゃ」と思うと、余計に萎縮してしまいますが、音楽そのものに集中することで、自分へのプレッシャーを軽減し、自然と落ち着くことができます。

マクウィリアムはさらに、「その瞬間、その場で演奏する栄誉を与えられたのはあなただ。審査員(聴衆)はあなたの音を楽しみに待っている。この貴重な機会を、少しの緊張で無駄にしてはならない!」と励ましています。演奏するのは自分で、聴く側はそれを楽しみにしている——そう考えると、少し気が楽になりませんか?

実際に行動経済学の研究でも、大きなプレッシャーがかかる直前に「私は大丈夫だ、緊張していない」と自分に言い聞かせたグループと、「私はとてもワクワクしている」と言い聞かせたグループを比較すると、後者のほうが圧倒的にパフォーマンスが良かったそうです。ポジティブなマインドを持つことが、どれだけ大事かがわかりますね。

では、メンタルを強くするために何ができるでしょうか? 例えば、本番のような環境をできるだけ経験することが効果的です。家族や友人の前で演奏したり、録音・録画をして「人に聴かせる」状況を作ることで、少しずつ緊張に慣れていくことができます。これを繰り返すうちに、だんだんと落ち着いて演奏できるようになるはずです。

また、本番前には深呼吸をして心拍数を整えたり、ポジティブなイメージトレーニングをするのも有効です。ワクワクする気持ちと笑顔はつながっているので、緊張していても意識的に笑顔を作ったり、軽く体を動かしてみるだけでも気持ちが変わります。体の動きを変えることで、自然とメンタルもポジティブな方向に向かいやすくなるんです。

日頃からメンタル面で自分を追い込みすぎないことも大切です。完璧を求めすぎず、「もしうまくいかなくても、それを次の経験につなげればいい」と考えられると、気持ちが軽くなります。

結局のところ、緊張を完全になくすことはできません。でも、それを味方につけることは可能です。適度な緊張は、むしろ集中力を高め、演奏にエネルギーを与えてくれます。マクウィリアムの言葉を借りれば、「少しの緊張で、この貴重な機会を無駄にするな!」ということです。緊張したら、「よし、エンジンがかかってきたぞ!」と前向きに捉え、自分の音楽への情熱を信じて演奏してみてください。技術的な準備に加えて、メンタルの準備も整えておけば、どんな場面でも自分の音をしっかり響かせることができるはずです。

最強の練習法「バズイング」

チューバサダーズでも何度も大事と発信しているバズイングですが、マクウィリアムもとても重要視していたようです。

バズイングは単なるウォーミングアップではなく、「最も効果的な練習法」と位置付けられており、楽器に頼らず音程感覚や息の流れを鍛えることがとても大切です。バズイングで正しい音程が出せなければ、楽器でも正しい音程は出せないというのはマクウィリアムだけではなく、様々な巨匠たちが語っています。

つまり、バズイングの正確さを磨くことが、そのまま楽器での演奏の精度を良くする近道ということですね。

バズイングをすることで、耳を鍛えながら音楽的な感覚を養うことができるのも大きなポイント。ただし、ここで大事なのは「アンブシュアの形を意識するな!」ということです。唇の筋肉の練習ではないので、唇を固めて演奏することは悲惨な結果を招きます。大事なのは、正確な音程とナチュラルな呼吸で自然に息を流すことですね。これはホルンだけではなく、チューバにおいても全く同じことです。

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