【グッズ製作記録】オリジナルパーカーが出来るまで

我々TUBASSADORSはチューバという楽器だけを使った音楽グループなんですが
たびたび自分たちのロゴマーク等が入ったオリジナルグッズを製作・販売し、ファンの方と共有しております。

ここでは、その中の一つとして2022年冬に制作した『ビッグシルエットパーカー』が出来るまで、ということで
製作の手順や利用したサービスなどを記録し公開します。

あくまで僕たちは音楽グループであって服飾に関しては素人なので、実際にやったことだけを書きます。
同じぐらいのレベルで衣服のグッズ作りを考えている方には参考になるんじゃないかと思います!

コンセプト

大体こういうことをする時ってグループ活動だと思いますので、先にここを決めておかないと多分あとで揉めますね。

今回は作り始める前から

  • 普段使いしやすいシンプル路線
  • それでもショボく見えない高品質
  • 赤字にならず自分たち用のが作れたらいいや、ぐらいの価格設定

という方針は予めメンバーで一致させておきました。

「お母さんに着せられるぐらい」が裏テーマですね。違うか。

使った素材

United Athle (ユナイテッド・アスレ)というブランドの
10.0オンス ビッグシルエット スウェット プルオーバーパーカ (裏パイル)
を今回の素材(=ボディ)として採用しました。

無地で欲しいなら普通に大手通販サイトで買えたります。

気に入ったのは商品名にしっかり「ビッグシルエット」と書かれているところですね。
ただ大きいだけじゃなくジャストサイズで着た時にこなれたオーバーサイズ感が出るというのがポイント。

今回はかなりシンプルに行くと決めていましたので、必然、素材そのものに何かこう「ちゃんとしている」感じが欲しく、
つまりは、メーカーさんがしっかりイマドキっぽさを考えてデザインしてくれている感じが、製作担当にグッと来ました。

そしてこれを取り扱っているプリント業者さんは普通に
パーカー オリジナル
とか検索したらどこでも見つかります。
ですが、ここで一点どうにも満足出来ないことがあり、ひとつ話をこねくり回すことになりました。

『裏パイル』がないっ!

【裏パイル】
生地の裏面がパイル状に編み込まれているもの、つまりタオルみたいな感じになっているものです。
他にも「裏毛」って言い方もするみたいです。

つまりはこんなやつ

要するに裏起毛ではない、フツーのスウェット生地ということです。
この裏パイルが凄く良い!というよりは
裏起毛だと”冬特化”し過ぎるんじゃないかな?」と感じたんですね。
モコモコと暖かいのも良いんですけど、逆に冬以外で着づらいな、と。
実体験として洗濯後に乾かすのが比較的大変だったりしますし。
あとチューバサダーズファンの方ってちょっと暑がりが多そうだし。

ということで、コレ結構大事だなと思いまして
そこの仕様まで拘って見てみたんですが、
目を付けたビッグシルエットパーカーにこの裏パイルのバージョンが無い!
レギュラーシルエットなら両方あるのに、ビッグシルエットだと無い!
1社だけ取り扱っているところ見つけたけど、な、なんか代金が高い!

「ビッグシルエット」と「裏パイル」と「リーズナブル」が惑星直列ぐらいなかなか揃わず
こうなると逆に余計拘ってしまう製作担当の病気がビッグバンを起こし、ここで2日ほど足踏みしました(マジ)。

で、結局
メーカーから直接買いました。

どこへ行くのか、チューバサダーズ。

「裏パイル探し」に難航した理由

これは別にハッキリとメーカーさんに確認したわけではないので
あくまで製作担当の筆者が「色々終わったあとに想像でそう解釈した」というだけの表現に留めますが

どうやらこのボディは裏起毛の方がずっと先にリリースされていて、
裏パイル版は僕が探し始めた辺りがちょうど出たばっかりの最新商品だったみたいです。

なので、各プリント業者さんのラインナップに並ぶまでに少しラグがあったわけですね。
今ちょっと検索したら簡単に見つかりますし、制作費用も多少当時より安くなっているように感じます。

あと、決して裏起毛のアンチではないので補足しますけど
起毛の分の厚みが増しているのと、あと多分そこにポリエステルが混ざっていることで
こっちの方がフードの型などキチッと立つ印象を受けます。

裏起毛/白/XL
実はちゃんと試着までして選びました…笑

なので、本当に良し悪しではなく好みの問題だと思いますね。
またこちらの方が早く出ている分カラーバリエーションも豊富でした。

こういうブランドもやっぱり日々新製品やデザインの代謝があり
「いつ」製作を企画するかで色々話が変わってくるのは面白いなと思いました。

お前もアパレルにならないか?

オリジナルグッズ化!デザインをプリント

改めて、アパレルブランドUnited Athle を経営しているメーカーキャブ株式会社さんからボディを合計45着+メンバー分4着を購入し、
次にデザイン担当メンバー田村相円が作ってくれたカッコ可愛いワンポイントを
オリジナルプリントの業者t-shidan(ティーシダン)さんに持ち込みでプリントして頂き、めでたく完成となりました。

プリントについても色々なところを見比べてみましたが、
持ち込みでの依頼を快く引き受けてくれたティーシダンさんが神企業なのはまず間違いないとして
基本どの業者さんも「ある点においては安いがある点においては少し割高」みたいな感じで
一見すごく安く見えるところも、逆に高く見えるところも、
値段に関してだけ言えば最終的にそこまで大きく差が付かないように感じます。

とはいえ、数百円の原価の差が最終的な収支を結構変えることもありますので、
パッと見て「安そう!」とならずにサイトの説明をよく読んで計算、或いは普通に連絡して見積もりを取って
サイズや枚数ごとの代金区分の刻み方などが自分のしたい内容と上手く噛み合っているところを選んだら良いと思います。

あとは、特に同じようなことをしたいけど経験がないという人向けに一応以下をメモっておきます。

プリント代の計算式

大体どこも、こういうタイプの衣類へのプリントっていうのは『シルクスクリーンプリント』が標準で
その代金の計算は( 製版代×版数 ) + ( プリント代×枚数 )って感じだと思うんですが、
この『版』ていうのはその大小に関わらず1色で1版です。

今回相円が作ってくれた素敵なロゴ

これは黒のボディに印刷したものなので、黒色の部分は生地の色です。
つまりこの場合、白の部分と青の部分で2つの版代がかかるということです。

もし仮に
版代1つあたり¥8,500
プリント代1回あたり¥200
とサイトに書いてあった場合、上のデザインで30着にプリントしたとすると
( 8,500×2 )+( 200×30 )=¥23,000
がこの時のプリントの合計代金ということになります。
これにボディの代金を足したものが今回の原価ということになりますね。

もし更にこれにカラーバリエーションを付けようとしたら
同じ形のデザインであっても使った色の数だけ版代は増えていきます。

だから結局、安く済ませたいならなるべく色を使わない
そして売れる見込みがある限りなるべく沢山作った方がお得ということで
そこはまあ誰もが言われなくてもそうイメージされていることだと思うんですが、こんな仕組みです。

一度作った版は一定期間保管してもらえて
その期間内であれば同じデザインでの増産はプリント代+送料だけでやってくれる所が殆どに見えます。
が、一応そこら辺明記されているか?とか、保存期間はどのぐらいか?とか
そういうところを見てみるのも比較の際にポイントになるかもしれませんね。

しつこいようですが業者さんごとに代金の設定と表現の仕方がありますし
極端に少ない枚数やグラデーションなどの場合にはまたそれに特化した印刷方式も色々ありますので
結局はアレコレ考えるよりデザインを見せて直接見積もりをお願いするのが一番手っ取り早いと思います。

あとは、完成品を販売するつもりなら個包装のオプションはお願いした方が絶対良いと思いますね。

そしてあなたのもとへ

完成!

ボディ決めやデザイン決めなどには多少時間もかかりましたが、
業者さんはどこもあっという間に対応してくださり、
ボディを正式に発注してから完成品が届くまでは1週間かかりませんでした。
勿論枚数や時期などにもよるんでしょうが、どの業種でもプロというのは凄いですね。

流石に正確な製作費用まで公開するのはあまりに野暮だと思うのでそんなことは言いませんが
ここまでそれとなく明かした経費の他にも、
デザインとか配送の手間とか、資金繰りの知恵とか深夜にPCカタカタした電気代とか
メンバー全員がチームプレーで力を出し合った末に一つ一つのグッズが出来ております、というお話でした。

そうやって作ったものをこうして買っていただけて、本当に有り難いことです。
それだけで充分ですので、これ以上多くは望みませんが
強いて言うなら永遠に着てください。


この記事を書いた人

チューバサダーズのチューバ担当
フリーチューバ奏者・音楽講師
武蔵野音楽大学卒業、チューリッヒ芸術院(スイス)修了
7年のスイス留学を経て埼玉、東京近郊でフリーランス活動をしています。