チューバの上達を最大効率化できる練習器具11選

何も考えずにボーッと練習しても時間の無駄

 皆さん楽しくチューバ吹いていますでしょうか。チューバやったことないという方はきっとこれからチューバを始めたくなると思いますので、そのときに備えて練習について詳しくなっておきましょう。

 いきなり時間の無駄なんて色々批判が飛んできそうですが、僕もボーッと練習しているときありますので(笑)、そんなときはしっかり休憩をすることにしています。最初に大事なことを書いておきますと「楽しく練習して楽しく演奏する」ということが一番大事ですので、練習がキツイものになってしまったりや大量の情報に惑わされて一番大事なモチベーションを失ってしまったら元も子もありません。ですが、やはり一生のうち時間は限られていますし、チューバを吹ける時間も限られていますので、せっかくならうまくなってブリブリチューバを鳴らしたいものです。
 そうなった時に大事になるのが練習の時間効率です。効率なんて考えなくても体力が有り余っている方は一日中練習すればきっとうまくなると思いますが、みんながみんなそういう状況でもありません。
 というわけで、忙しいあなたに向けて本記事ではうまく使えば練習の効率を上げてくれる練習器具を片っ端から解説してみました。動画版もありますので、ぜひご視聴いただければ幸いです。

動画版では各練習器具の詳しいエクササイズなどを中心に扱っています。
目次

バープ B.E.R.P.(Buzz Extension and Resistance Piece

ロサンゼルス室内管弦楽団で10年間首席トランペット奏者を務め、サンフランシスコ音楽院などでも教鞭をとるマリオ・グァルネリが演奏者・指導者としての長年の経験をもとに開発した金管楽器のバズィング練習のための器具ということで、かなりメジャーな練習になります。特にバズイングが重要視されるチューバにおいては世界的にかなり普及しています

使い方としては、楽器側のレシーバーに取り付けてマウスピースを挿してをウォームアップや難しいフレーズの練習に使用します。リップスラーなど音がうまくつながらない状態の人にも最適で、バズが途切れることなくフレーズを吹き切れるように練習すると精度がかなり上がります。ロングトーンのような練習に使うのも良いですが、音域が移動するエクササイズや実際の曲やエチュードで使ってみると効果的です。

バープを使った練習に限った話では無いですが、ただただやっただけになってしまうと練習効果がありませんので、練習している風•やった感だけではなく、何を目的として練習するかなどを明確にもつと良いと思います。

ブレスビルダー

元シカゴ響チューバ奏者のアーノルド•ジェイコブス氏が、楽器用に使用することを推奨し、チューバ界では定番の練習器具となりました。ピンポン玉を上げ続けるというシンプルなエクササイズですが、肺をフルに使って安定した呼吸をトレーニングすることができます。

日本では吹奏楽部などでも導入している団体が多く、メジャーになりました。発展的な使い方としてはピンポン玉が落ちないようにタンギングをして、息を流しながらスムーズなタンギングをする練習に効果的です。特にダブルタンギングではTKTKというシラブルのKの子音で息が入りにくくなりますので、こうした練習器具でトレーニング可能です。

スピロメーター

こちらも元々は楽器用ではありませんでしたが、様々なプレイヤーが推奨している効果の高い練習器具です。チューバではマウスピースをホースに挿してバズィングエクササイズと合わせて使うと非常に効果的で、世界中多くのプレイヤーが取り入れています。アレッサンドロ•フォッシ氏のバズィング用教本であるTo Buzzと合わせて使うと効果的です。

息の抵抗感を調節することができるので、音域に合わせた調整しながら使います。

音が安定して伸びない方や息の流れが止まってしまう方、アンブシュアに悩みのある方にはかなりおすすめです。

エアバッグ

シンプルな構造ですが、今まで使えてなかった肺の容積を感じることができ、リラックスしたブレスや呼吸に役立ちます。

プロ奏者でもまずエアバッグを1日の最初にやって呼吸を確認するという奏者が一定数います。エアバッグを使った練習ではありませんが、著名なプレイヤーが複数人、1日の最初は深呼吸とブレスの練習をしてから楽器で音出すと発言しています。それぐらいチューバにとってブレスコントロールやカラダ側の運動量は大事な要素となっています。

ブリオ

パイプにアパチュアの形をした吹き込み口がついているステンレス製の器具です。細すぎてチューバにはちょっと息が入る量が足りませんが、トランペットやホルンの人にとってはアパチュアを維持する筋肉や息の流れなどを鍛えることができます。チューバの場合はより息が入りやすいヒビキコネクターの方が最適かと思いますが、どちらにしても息をまとめる練習なので、エアバッグやスピロメーター、ブレスビルダーなど息の量をしっかりと鍛える練習器具と併用すると良いでしょう。

ビジュアライザー

通常のマウスピースをカットして作るタイプともともとリムだけになっているものがありますが、どれも効果は同じです。フリーバズに最も近い状態でバズイングの練習ができます。ビジュアライザーというネーミングからかアンブシュアを視覚的に捉えるためにのものに間違われがちですが、アンブシュアの形ではなく、支えの少ない状態で楽器に頼らず口腔内のコントロールと息の流れだけで目標の音程を鳴らすことができるようになるトレーニング器具です。つまり、普段の楽器演奏ではなんとなく息を入れて唇をブルブルすればなんとなく音は出ますが、それでは音の精度が上がりません。様々なバランス要素のバランス感覚を養い、常に音のツボに対して明確にコントロールできているかを確認することができます。

ここで重要なのは無理やり唇を振動させて、詰まったような音でブーブーとやっても全く無意味であるという点です。使い方がやや難しく、効果は高いですが中上級者向けの練習器具でしょう。同じようにバズイングの精度を上げる練習器具は他にバズィンガー、バープなどがあります。

樹脂製ビジュアライザーが安価で求めやすいです。

樹脂製ビジュアライザー”Cutaway”(カッタウェイ)

リトルウィリー(マウスピース用ミュート)

マウスピースメーカー「willie’s Custom Brass」から、画期的なプラクティスミュートが発売!
Stay Homeに最適な全く新しい発想によるミュートその名も「Littele willie – Sound reducer」
マウスピースメーカーだから出来たこのミュート。プラクティスミュートにありがちな問題点も解消!
この小さな小さなプラクティスミュートが練習場所難民を救います!

【練習用アイテムとして】
音のセンターをしっかり捉えフォーカスさせるテクニックの習熟用としても使えます。
例えばペダルトーンは装着時には極めて困難ですが、外した際にはとても当てやすくなります。
反面高音域は装着により吹きやすくなりますので、高音域のコツを掴むきっかけになります。

Amazon商品ページより

元々はマウスピースの中に入れるタイプの消音器だったのですが、音のセンターを捉える練習にもとても有効です。金管楽器の中でもボアサイズが大きい(管の内径が大きい)チューバは音のセンターを掴む感覚を取得するまで時間がかかります。逆に言うとユーフォやチューバはある程度適当に息を入れても音が鳴ってしまいます。この鳴ってしまうということが厄介でして、正しい奏法が身につかない原因となっています。

音の出るスポットを意図的に狭めることで、センターを狙えていない人は音が安定しなくなり、うまく楽器から音が出ません。嘘発見器のように自分のできていない部分や苦手な音域を高い精度で練習することができます。おそらく殆どの方はこの練習器具を最初に使ったときには自然な奏法で音が出せないと思います。また、無理やり息を入れたり無理やり唇に力を入れて吹くのはもっと逆効果なので絶対にやめましょう。

エアバッグやブレスビルダーなどの呼吸を安定させる器具と合わせて使うとより効果的でしょう。

BT18.5 – 9.0
BT28.0 – 8.5
BT37.5 – 8.0
お持ちのマウスピースのスロートに合わせて三種類から選べます。

クニイ ヒビキコネクター (異径)

異なるチューブの連結に使う樹脂製のコネクターです。もちろん楽器用ではありませんが、読売日本交響楽団のチューバ奏者である次田心平氏が提案されていた練習方法です。息をまとめて、スムーズに楽器の中に息を流す練習に使います。太い方をマウスピースのカップの中に入れて細い方を咥えた状態で、練習中のパッセージなどを息だけで練習します。その他にも数多くの練習に応用が可能です。

スロート側にはめて使えば、一つ前の練習器具のリトルウィリーと似たような練習効果があります。内径がそれよりも細いので、より何度の高い練習になりますが、負荷も高いので練習のしすぎやリラックスした奏法により注意を払う必要があります。

咥えて息を流すだけでもかなり効果があります。価格もかなり安いのでぜひ買ってみてください。

バズアール

バズイングの最もシンプルで安価な練習方法はホームセンターでホースを買ってくることですので、中学生や高校生にもおすすめです。このバズアールはホースとほぼ同じ練習目的で使用しますが、穴が2つ空いており空気抵抗を何段階か調整可能です。

Buzz-Rにマウスピースを付けて練習するこで、楽器に近い抵抗感を感じることができ、ご自宅や出先での練習にも最適です‼


側面に開けられた穴は楽器の抵抗を再現しており、これにより無理のないバズィングが可能となります。そのため、Buzz-Rはウォーミングアップに適した練習器具です。

Buzz-Rでの毎日の練習により、音域・スタミナ・柔軟性・演奏に使う筋力の向上を感じることができるでしょう‼

ベン・ファン・ダイク氏コメント
「Buzz-Rの木材の美しさもさることながら、簡単に手に持ってマウスピースで快適にバズィングできるのが素晴らしいです。
側面の穴の開閉で抵抗を変えられ快適な吹奏感を得られるツールです。」

管楽器専門店ダク様商品ページより

カーチス バズタイム

樹脂製のマウスピースのスロート部分に穴が空いた練習器具です。ここの穴から空気が逃げますので、息の流れとバズで音が狙えていないと音が不安定になってしまいます。商品ページには腹部を鍛えるみたいなことが書いてありますが、楽器演奏は筋トレではないので息をたくさん吸ってブチ込めばいいというわけではありません。あくまでも普段の楽器で演奏しているときと同じ自然な奏法で取り組むことができれば良い練習器具になると思います。

バズィンガー

Tubassadorsオンラインショップより購入可能です。

バズィンガーはチューバサダーズ監修で作成した「息の流れ」「バズ」の2つが鍛えられる練習器具です。詳しくは商品ページを参照していただくとして、今回の記事の中であえて紹介したのは、他の練習器具と比較してどんな立ち位置なのかを詳しく解説するためです。

バズィンガーは本体を回すことでネジ部分が回転し、空気穴の大きさを無段階に調節することができます。人によってもどれぐらいバズを重要視するか、息の流れを重要視するかがまちまちで、プロ奏者の中でも世界的に考え方が分かれています。ただ、個人的に思うのはどちらの考え方も目指しているところは同じはずで、細かな認知とバランスの違いなのではないかと思います。調整可能なシステムが使用者にとっては任意に抵抗やバランスを変えることができるのでとても汎用性が高いです。バズィンガーは元々ホルン用のBig Buzzから着想を得た練習器具ですが、バズィンガー単体でも使えるようにとシリコン栓を付属してバズィングエクササイズのトレーニング器具としても使えるようにしました。こうした練習器具でありがちな樹脂製ではなく、ステンレス製で精密な日本製にこだわることで楽器に装着したときの安定感も向上しています。

マウスピース単体でネジを締めて空気穴を狭くすれば、リトルウィリーやヒビキコネクター、ブリオなどの息やバズをまとめる系の練習になります。空気穴を最大にしますとホースを付けたときと似た抵抗感になります。楽器に挿して使用するとカーチスのバズタイムやバープのような練習効果で、息を遠くに流しながら効率の良いバズを練習でき、なおかつ負荷を変化させることができます。

つまり様々練習器具の要素を複合的に含んでいる練習器具であるということがわかっていただけると思います。複数のお客様からもレビューを頂き、具体的に使ってみたバズインガーの効果を何個かあげますと、「音の密度かなり上がった」「鳴りにくい音域が鳴らしやすくなった」「バズイングの練習が適度な抵抗感をつけられるので楽しくなった」など、嬉しいお知らせを頂いております。

なお、バズィングエクササイズの音源と楽譜が付属していますので届いたその日から活用可能となっております。

関西フィルハーモニー管弦楽団首席チューバ奏者、吉野竜城様と大阪フィルハーモニー交響楽団首席チューバ奏者、川浪浩一様にも試していただきました!

鼻笛

こちらは鼻笛という楽器です。鼻にあてて鼻から息を流し、口腔内の大きさを変えることで音を変えます。何かの練習にすごく役に立つというわけではありませんが、金管楽器でも口腔内の調整やコントロールは大事とされておりまして、鼻笛を使って口の中の容積を変える感覚を掴むとリップスラーや音階などスムーズに吹けるようになることもあります。直接的な練習器具というより、遊び半分で試してみて、感覚がわかればおお〜となるような存在ですね。
結構面白いですし、Amazonで1000円ぐらいで変えますのでぜひお試しください。

ノンプレッサー

最後に紹介するのはミグマというドイツの会社から販売されているノンプレッサーという練習器具です。チューバはそもそもそんなプレスするしないが需要な楽器ではないので、いい音出てればなんでもいいのです。ただ、特定の苦手な音域、特に中高音域でプレスしてアンブシュアを無理やり作って音を出す癖がついてしまっている人には効果的です。プレスをして演奏しているとマウスPsから口を離した時に、カチッと音がなってしまうのでそれが鳴らないようにスケールやアルペジオなどを練習します。

僕はチューバサダーズで使うような超絶ハイトーンを何時間も吹き続けるというような過酷な技術を求められるので、ハイトーンをなるべくプレスせずに体側の体内圧力で息の流れを作れるようにトレーニングしています。その結果バズの効率が良くなったのかこれを使ったあとは音が太くなったような気がします。

ただ現在日本で取り扱っている店がないのでほしい方は直接ミグマから買うしかないようです。僕は注文から半年以上かかりました…。

まとめ

ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました。最後に大事なことをまとめておきます。練習器具はあくまでサポート器具ですので、正しく使って初めて正しい効果が出ます。ここに掲載したものを全部買ってただただ毎日使うだけでは何も意味がありません。また、ここに書いた内容はあくまで一例ですので、参考までに捉えていただけると幸いです。

どういう目的でどいういうエクササイズで使うとどんな効果があるのかをしっかり理解して使用することで、初めて良い効果が出てきます。マウスピースや楽器は正直どんなものでも奏法がしっかりしていればある程度コントロール可能です。過度にマウスピースに沼る前にしっかりと整備された楽器(ここ大事)でこうした練習器具を使うことやレッスンを受けてみることなどをおすすめいたします。

チューバサダーズのメンバーからレッスンを受けたい方はこちらから

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